ただいま~♪
お小遣いをくれる叔母も、何十羽と世話する小鳥を見せてくれる叔父も、
そんな祖父母が他界して空き家となってからは、来る理由がないまま月日は流れ、
数々の思い出を作ったこの地へと、いつかは訪れたいと思っても、
大阪の自分には、その距離以上にどこか遠くの地へとなっていた。
こうして旅人として、お遍路さんとしてやってくるとは思いもしなかっただけに、
今の自分が不思議で仕方がなく思う。

ずいぶんと昔に来て以来だから、目に映る景色は初めて見るようで、懐かしかった。
そんな小さき頃の夏の日の記憶は曖昧で、その場に立っては自分の中の室戸の景色に手直ししていった。
それは、なんだかモノクロの思い出に、色を付けていくような感じであった。

あの夏の日の頃のこの町は、もう少し明るい町であった気がする。
それだけは、子供の頃の曖昧な記憶でないのは確かだった・・・。

旅679日目 「あの夏の日へ」

ずっと高速道路だと思って見上げていた高架道路は国道であった。
幼き頃の思い出って、そんなものなのかなと、
子供の頃のあの夏、それも今では雲の向こうにあるようなかすむ記憶を頼りに町を歩いていた。

夏休みに家族で大阪からこの祖父母の家に遊びに来ては、必ず釣りをして遊んだ港がある。
この日は真っ先にそちらへと向かった。
あの夏の日は糸を垂らせばポイポイと釣れたが、今も釣れるのだろうか、
そこに立てば、ここを楽しみにしていた幼き自分の顔が思い浮かばれた・・・。

121@DSC00387.jpg幼き頃、見上げては高速道路と思っていた高架道路は国道55号線であった。

121@DSC00393.jpg釣りをして楽しんだ港

ぶらぶら町を散策しながら、
そして二十四番札所最御崎寺(ほつみさきじ)へと納経帳片手に向かった。

その前が日和佐での薬王寺であったから、実に11日ぶりとなる久々の霊場だ。
予報では昼過ぎから雨の予報であったが、今朝は青空も見え隠れし、
そんな最御崎寺へは、室戸スカイラインへと続く山の中腹まで登らされるのだが、
青空と見下ろす室戸の街並みがきれいに見えた。
納経帳ぐらいの身軽であったから、そんな登りも苦とはせず、
むしろ望む景色に気分良くあがっていったほどだ♪

121@DSC00406.jpg最御崎寺へ向かう室戸スカイラインへの道のり。

121@DSC00413.jpg結構登らされたものだから、
   土佐湾に室戸の町並みを見下ろすいい景色であった。


121@DSC00426.jpg二十四番札所 最御崎寺

ちょうど、お遍路ツアーの団体さんと重なり、
自分が到着した時には、境内は祭りのように賑わっていた。
そんな何十人分のろうそくに線香がずらりと並ぶ。
積み上げられてた朱印の山に、住職さんも忙しそうだった。

本堂の床に開いた穴は、ツアーのガイドさんが解説するには戦時中の空襲の傷跡だそうだ。蜂の巣のように弾跡が残っていた。

121@DSC00430.jpg

121@DSC00433.jpg

121@DSC00427.jpg寺の境内に置かれた鏡石。この音が冥土まで届くという、願いの叶う石で、その名のとおり、普通の岩にしては不思議なくらい、たたくとビー玉を擦り合わせたかのようなガラスの音が響いて不思議だった。

室戸岬灯台は、そこから少しばかり山を下った先にあった。

日本最大級という大きなレンズは日本の灯台50選に選ばれるだけあって、
大きなまなざしで海の船たちを見守っているようである。
この室戸の地は、お遍路をする大師が修行した場所だそうだ。
この空と海に感銘を受け、のちに空海と名乗ったという・・・。

121@DSC00441.jpg大きな瞳で海を見つめる室戸岬灯台、
  そんな大きなレンズが愛を照らすという意味で、恋人の聖地となっていた。


121@DSC00485.jpg空海が修行したとされる御厨人窟(みくろど)

昼頃になれば、予報通り天気は怪しくなってきた。
雨に打たれる前に家に帰ろうかとも思ったが、
それでも思い出の町を見て回りたかったので、寄り道は続いた。

廃業したホテルがあって、ドキドキしながら覗き込む。
濁る窓越しには、ずいぶんと荒れ果てたフロントにレストランだったから、かなり昔につぶれたみたいであった。
富士フイルムの使い捨てカメラの広告が、止まった時の流れを物語っていた。

121@DSC00475.jpg廃墟となっていたホテル

121@DSC00480.jpg廃業のレストラン・・・

121@DSC00473.jpgクジラのトイレ

なにくわぬ顔で道端に自生するサボテンにアロエ。
路肩にハイビスカスが並ぶハイビスカスロードも南国の地そのままであった。

力強い眼差しで土佐湾を見つめる大きな銅像に出くわした。
始めてみるその顔は誰なのかわからなかったが、中岡慎太郎という、
坂本竜馬とともに幕末に活躍し、京都の近江屋で竜馬と共に死客に襲われ若くしてその命を絶った方であるそうで、海を隔てた桂浜に立つ坂本竜馬と向かい合っているそうだ。

121@DSC00504.jpg立派なまなざしで、土佐湾を見つめる中岡慎太郎氏

121@DSC00482.jpgサボテンにアロエも自生している姿は、南国の地なんだなと思った。

121@DSC00446.jpgこの子、ピクリともしないから、はじめは死んでいるのかと思った・・・。(^^;)

121@DSC00450.jpgあ、起こしてすみませんです・・・。(^^;)

そのまま海岸を歩く。

貴重な地質が世界ジオパーク公園として登録されているそうだ。
波打ち際に延びている遊歩道を散策、ここは家族で歩いた思い出があったから、記憶する数少ない場所だけに嬉しくなった。

121@DSC00510.jpg

121@DSC00490.jpg

121@DSC00497.jpg

121@DSC00499.jpgエボシ岩

津波避難路の表示に、至る所に海抜を示す札。
そんな津波を警戒する町の姿は、
自分には意識するだけでも平穏であるはずの日々を濁している気がする。
家の近所では、そんな札が目に付いた。

ふらふらとしていれば4時間も町を歩いていたが、
子供どころか、自分より若い方すら見かけることはなかった。
小学校に、また自分の家が公文教室であるのだから、子供がいることはいるのだろう。
しかし、どこを歩いても腰を曲げたおばあちゃんにおじいちゃんばかりに、
また自分の声が届かなかったのか、挨拶をしても返ってくる返事はまばらで寂しく感じる町であった。

そのまま放置された廃墟が町全体に暗い陰をおとしている気がする。
小学生の時に遊びに来た夏の日は、もっと色のあった町であったきがした。
今ではどこもさび付いた門に、ひと気のない家々が色を失った町に見えて仕方がない。
旅している中で、そういった数多くの色の無い町を横目にこれまで走り去ってきては、それが当たり前のように横目で走り抜けてきたのだが、
心配するようでそれはやはり自分にとって通過点の町のひとつにすぎない思いであって、それが自分の町と思うと、この歳を取った町の姿は悲しく思えた。

数十年後には人がいなくなってしまうのではないだろうか。
自分がここまで暗い気持ちになるのだから、ふるさとである父はもっと悲しい町に映ることだろう。

121@DSC00514.jpg

121@DSC00520.jpg

121@DSC00521.jpg

121@DSC00512.jpg

121@DSC00529.jpg

121@DSC00400.jpg

121@DSC00405.jpg

121@DSC00389.jpg

121@DSC00530.jpg

この日は午後から雨の予報に木田さんとともに停滞。
昼からの雨の予報であったが、雨は夕方になって降り出した。

ずっと家にこもる木田さんはきっとヒマしていることだろう、
そう思ってポテチのおみやげを手に帰るも、自分のWi-Fiモバイルルーターを使ってインターネットをしながら充実した時間を過ごしていたようだ。

自分もあの夏の自分を思いだした不思議な日だった・・・。


1月21日 おしまい。


天候:晴れのち雨
体調:良好

キャンプ地:祖父母の家 (高知県室戸市)

[あとがき]
4月17日、現在は瀬戸大橋の街、香川県坂出市です。

なにかお勧めの情報、場所でもあればメールください♪
yaku@docomo.ne.jp


旅全記事リスト http://teriyaki830.blog.fc2.com/archives.html

読んでくれてありがとうございます♪
クリックしてもらえるとうれしかな・・・。

にほんブログ村 旅行ブログ 日本一周へ
スポンサーサイト

[2013/04/17 20:58] | 高知
トラックバック:(0) |

また出た文豪
ぱんら
モノクロの想い出に色をつける。。。
でも今の色は薄墨色で子供時代の方が鮮やかな色だったんだね。確かにちょっと寂れた感はあるけど、部外者から見れば極普通の日本の港町って感じ。路地裏愛好会としては絵になる町に思える。でも思い入れのあるサトシ君には寂しく感じるんだろうね。

ねこちゃんの、よくも起こしてくれたわね!的な不機嫌な顔、笑っちゃいました。ワンコも居るし、小学生も居るし、違う時間帯だと結構賑やかなんじゃないの? 明日も気いつけてねえ!

こんにちは
寿「「「「
こんにちは
毎回、更新を楽しみにしています。
文章の繊細さが好きです。写真が綺麗なのも好きです。
maxさんは旅を終え、あとはブログの更新のみとなったようです。
サトシさんとmaxさん・まめさんの写真が綺麗で
毎回の更新を楽しみにしていましたが、残るはサトシさんのみとなりました。
旅は苦しい時もあるみたいですが楽しんで下さい。
誰もができる経験ではないと思います。
よい旅を
よい人生と
また顔を出します




寿「「「「「

タイムマシン
風ささき
鮮明に覚えていることがある、時は流れて風景
が一変しても、既にこの場所に過去の自分は立つ
ていた。
自分自身の容姿も変化していても、あの日この
場所で感じたこと、思いは、その場所に留まり色
褪せることなく見えない存在で残り続ける。
叶わなかった想いは、永遠に空中を飛びまわって
いるのかもしれない。
時として、受信して、想い浮かぶのかもせれない。
そのとき、過去の自分とシンクロして現代の自分
を時を越えて見ているのかもしれない。
明日の延長が未来、未来の自分を思い描けた時
は、未来の自分が、現代の自分を見つめている時
かもしれないね。
明日もいい旅を。



コメント:を閉じる▲
コメント:
この記事へのコメント:
また出た文豪
モノクロの想い出に色をつける。。。
でも今の色は薄墨色で子供時代の方が鮮やかな色だったんだね。確かにちょっと寂れた感はあるけど、部外者から見れば極普通の日本の港町って感じ。路地裏愛好会としては絵になる町に思える。でも思い入れのあるサトシ君には寂しく感じるんだろうね。

ねこちゃんの、よくも起こしてくれたわね!的な不機嫌な顔、笑っちゃいました。ワンコも居るし、小学生も居るし、違う時間帯だと結構賑やかなんじゃないの? 明日も気いつけてねえ!
2013/04/18(Thu) 08:47 | URL  | ぱんら #-[ 編集]
こんにちは
こんにちは
毎回、更新を楽しみにしています。
文章の繊細さが好きです。写真が綺麗なのも好きです。
maxさんは旅を終え、あとはブログの更新のみとなったようです。
サトシさんとmaxさん・まめさんの写真が綺麗で
毎回の更新を楽しみにしていましたが、残るはサトシさんのみとなりました。
旅は苦しい時もあるみたいですが楽しんで下さい。
誰もができる経験ではないと思います。
よい旅を
よい人生と
また顔を出します




寿「「「「「
2013/04/18(Thu) 10:24 | URL  | 寿「「「「 #rwIjROa.[ 編集]
タイムマシン
鮮明に覚えていることがある、時は流れて風景
が一変しても、既にこの場所に過去の自分は立つ
ていた。
自分自身の容姿も変化していても、あの日この
場所で感じたこと、思いは、その場所に留まり色
褪せることなく見えない存在で残り続ける。
叶わなかった想いは、永遠に空中を飛びまわって
いるのかもしれない。
時として、受信して、想い浮かぶのかもせれない。
そのとき、過去の自分とシンクロして現代の自分
を時を越えて見ているのかもしれない。
明日の延長が未来、未来の自分を思い描けた時
は、未来の自分が、現代の自分を見つめている時
かもしれないね。
明日もいい旅を。

2013/04/18(Thu) 18:31 | URL  | 風ささき #-[ 編集]
コメント:を投稿
URL:

パスワード:
非公開コメント: 管理者にだけ表示を許可
 
トラックバック:
この記事のトラックバック URL
この記事へのトラックバック: